早期治療のために把握すべき歯周病の段階別症状

頬をおさえる女性の口もと

歯周病は、静かに進行していく恐ろしい病気です。症状に気付いて受診してみたら、「すでに重度にまで進行していた」ということも珍しくありません。
歯周病の初期症状に気付いて、早めに治療を開始することが大切ですが、気付かないうちに進行させてしまう人が多いというのが実状です。定期検診を受けることが大切ですが、歯周病の症状について知識を身に付けておくことも必要です。

こんな症状はありませんか?歯周病セルフチェック

進行段階によって症状の現れ方は異なりますが、次の症状の中に当てはまるものが多いならば、歯周病にかかっている可能性が高いと言えるでしょう。
該当するものが多いならば、早めの受診をお勧めします。

  • 起床時の口の中がネバつく
  • 歯茎が腫れることがある
  • ブラッシングの時に出血する
  • 口臭が気になる(口臭を指摘されたことがある)
  • 歯が長くなったような気がする
  • 歯と歯の隙間が大きくなったような気がする
  • かたい食べ物が噛みにくくなった
  • 歯が動く(グラつく)
  • 歯茎がブヨブヨした感じがする
  • 歯茎が赤く腫れている部分がある

歯周病の段階別症状

歯周病の症状

歯周病の初期段階と言える歯肉炎は、炎症が起きているのは歯肉だけであり、顎の骨にまで細菌の悪影響は及んでいません。
そのため、この段階ならば完治も可能であり、進行させないように適切に対処することが重要になります。

歯肉炎になると、歯茎が腫れたり、ちょっとした刺激で出血したりするようになります。歯茎がむずがゆいような感じがする場合もあります。
ていねいに歯磨きを行うことで炎症が治まる場合もありますが、進行を防ぎ、より効果的な予防につなげるためにも、一度歯科を受診しておくと安心でしょう。

歯肉炎になったということは、セルフケアに何らかの問題があるのかもしれません。歯磨き指導を受けるなど、セルフケアを一度見直すことが大切です。

歯周病は歯周ポケットの深さで進行度を診断します

歯周ポケットとは、歯と歯茎の隙間のことを言いますが、歯周病が進行するほど深くなる傾向にあります。深くなるほど、炎症が奥深くまで及んでいることを示します。
健康な歯茎では、歯周ポケットの深さは1~2ミリ程度ですが、歯周病になると3ミリ以上になります。重度の歯周病になると、10ミリを超える場合もあります。

歯肉炎の段階では、顎の骨にまで炎症が及んでいませんので、歯周ポケットの深さは2ミリ程度(以内)と言えます。

Phase1軽度歯周病の症状

軽度歯周病の状態の歯と歯肉の状態

細菌により骨の吸収が始まると、歯周ポケットが深くなり始めます。軽度の歯周炎(P1)と診断されるのは、歯周ポケットが3~5ミリの状態です。
この段階では、歯周ポケットが深くなり始めるほか、歯肉の炎症や出血もひどくなってきます。

歯周ポケットが深くなってくるため、溝に汚れが溜まりやすく清掃しにくくなってきます。さらに進行させないために、治療開始が必要です。

Phase2中等度歯周病の症状

中等度歯周病のの状態の歯と歯肉の状態

中等度歯周炎と診断されるのは、歯周ポケットが4~5ミリの場合です。歯槽骨の吸収が進んできて、歯の動揺や口臭などの症状が出始める場合もあります。
歯周ポケットが4~5ミリになったということは、歯根の1/3以上が吸収されているということになります。

骨吸収が進むため、歯茎の退縮もみられるようになります。歯が長くなったように感じるのは、それだけ顎の骨が溶かされていることを示します。

Phase3重度歯周病のの状態の歯と歯肉の状態

重度歯周病の症状

歯周ポケットが6ミリを超えると、重度の歯周炎と診断されます。この段階になると、歯を支えている顎の骨が十分でないため、グラつきや噛んだ時の痛みなども生じてきます。
また、歯周病による口臭は、進行するほどニオイが強くなってきますが、この段階になると周囲に気付かれるほどきつくなっている可能性が高いでしょう。また、歯根が露出することで知覚過敏の症状も出るようになります。

さらに進行すると、痛くて噛めない・自然に歯が抜け落ちるといったことも出てきます。この段階にまで進行すると、抜歯を余儀なくされます。

「歯槽膿漏」という症状

歯周病が進行すると、歯周ポケットからの排膿が起こるようになります。歯周病は、かつて「歯槽膿漏」と呼ばれていて、膿が出る病気と認識されていましたが、膿が出る頃には歯を失う可能性がかなり高まっています。
歯周病には、さまざまな症状が起こりますから、早めに気付いて適切な治療を始めることが大切です。

歯周病は複数の歯を失う原因になります

歯を失う主な原因は、虫歯と歯周病であり、その割合は大きく変わりません。しかし、歯周病で歯を失う場合、虫歯とは異なり、複数の歯を一度に失うケースも多いです。
複数の歯で歯周病が一度に進行するケースが多く、複数の歯を失うことにつながりかねないのです。

軽度の歯周病の場合、痛みなど自覚できる症状が少ないため、歯茎からの出血があっても気に留めない人も多いです。そのため、気付いて受診した頃には、重度の歯周病に進行してしまっているケースも珍しくありません。
初期症状を把握して、早めに受診することが大切になります。

定期検診が早期発見につながります

虫歯も歯周病も、痛くなってから受診したのでは遅いです。歯周病が「静かに進行する」と言われているように、自分では初期症状に気付けない可能性も高いため、定期検診でチェックを受けることが大切でしょう。
定期検診を受けることで、早期発見につながるほか、歯石除去やクリーニングを行うことによって発症・進行の予防にもつながります。