よくあるインプラントの5つのトラブル事例と当院での回避法

1960年代にチタン製インプラントの人への応用が始まってから、数多くの成功例の影には、残念ながらトラブルや失敗症例も多数報告されています。インプラント手術中の死亡事故や、術後の後遺障害のような重大なトラブルは2度と起きてはならないことです。

インプラントのトラブルに巻き込まれないためには、インプラントについての正しい知識が必要です。実際にどのようなトラブルが起きているのか、また、患者様に安全なインプラント治療を提供するための、トラブルを未然に防ぐ当院の取り組みについてご紹介いたします。

トラブル1骨と結合せずにインプラントが抜け落ちた

歯茎の模型に埋め込まれているチタン製のインプラント

インプラントは、歯を支える歯槽骨にチタンという金属を埋め込むことで、骨と結合して根付きます。ところが、何らかの原因で骨との結合が阻害されてしまうと、インプラントが抜け落ちてしまうことがあるのです。インプラントが抜け落ちる原因には、以下のようなものがあげられます。

  • インプラントの細菌への感染
  • 手術の際のドリルの摩擦熱による骨のオーバーヒート
  • 食いしばりなどによる歯への負担
  • 喫煙による血行不良

当院でのトラブルへの対策

当院は、トラブルを未然に防ぐため、治療環境の衛生管理や患者様への生活指導、ブラッシング指導などを行っています。もちろん、医師の治療技術も大きく影響するため、医師はもちろん、治療に関わるスタッフが治療技術・知識の研鑽に努めています。

当院の設備についての詳細は、「当院の治療技術・設備」をご覧ください。

トラブル2血管や神経を損傷した

インプラントのトラブルとしては、下顎へのインプラント埋入の手術中に、血管を損傷したことで起こった呼吸困難による死亡事故が知られています。下顎の内側にある、顔面動脈や舌動脈などの太い血管から枝分かれして併走している血管を、ドリルで骨に穴を開ける際に巻き込んでしまったのです。

また、下顎には下顎の歯や歯肉、舌、下唇などに刺激を伝える、「下歯槽神経(かしそうしんけい)」という神経が通っています。インプラント手術によって神経の損傷や圧迫が生じると、麻痺やしびれが残ることがあります。

当院でのトラブルへの対策

歯科用CTスキャナ

インプラント治療で導入している歯科用CTでは、3D画像により骨の状態だけでなく、神経や血管の位置が明確になります。さらに3D画像をもとに、コンピューター上でインプラントの位置をシミュレーションするガイドシステムを使用することで、 神経や血管の位置を事前に把握できます。

歯科用CTについての詳細は、「歯科用CTの必要性」をご覧ください。

トラブル3見た目が悪いまたは不自然になった

インプラント埋入のために根元が黒く見えている歯

前歯のインプラントのトラブルで特に多いのが審美的な障害です。前歯は他の部分に比べて骨が薄いため、チタン製のアバットメント(支台)にした場合、アバットメントが透けて歯ぐきが黒っぽく見えてしまうことがあります。

また、抜歯によって歯を失うことで骨吸収が進むことから、インプラントの埋入後にも骨の減少が続くと、歯肉も後退してアバットメント部分が露出してしまうという、審美的な問題が起こる可能性も高くなります。

当院でのトラブルへの対策

当院は、歯肉を増やす治療を行ったり、歯槽骨を増やす治療を行ったりして、見た目の仕上がりを考慮して治療を進めていきます。前歯治療は、特に審美性が問われる部分であるため、治療を行う歯科医院を慎重に選ぶことが大切でしょう。

前歯のインプラントについての詳細は、「前歯インプラント」をご覧ください。

トラブル4インプラント周囲炎などの細菌感染

医院内の設備や環境の衛生管理に不備がある場合、細菌感染を引き起こすことがあります。また、他の歯が歯周病に感染している場合、インプラントの手術前にしっかりと治療しておかないと、歯周病菌がインプラントに感染するリスクが高まります。

さらに、手術後に歯磨きが不十分だったり、きちんとメンテナンスを行っていないと、インプラントの周囲に溜まった歯垢内で歯周病菌が増殖して、歯周病のように歯肉や骨に炎症が広がる「インプラント周囲炎」を引き起こすため注意が必要です。

当院でのトラブルへの対策

歯科診察台

インプラントは正しいメンテナンスによって、40年以上も使い続けることができるということが分っています。当院では歯周病治療のほか、インプラント周囲炎をはじめとする、さまざまなトラブルを防ぐため、定期的なインプラントのメンテナンスや、プラークコントロールのための歯磨き指導などの、患者様にインプラントを長く使い続けていただくためのお手伝いをしております。

インプラント周囲炎についての詳細は、「インプラント周囲炎」をご覧ください。

トラブル5見積りよりも実際の価格がかなり高くなった

インプラント治療は、保険適用外の自由診療だということはご存知でしょうか。そのため、インプラント・アバットメント・人工歯の料金のほか、検査料や手術代、メンテナンス料などのインプラントの費用は、歯科医院ごとに料金設定がバラバラです。

いざ手術を行ってみたら骨が不足していたため骨造成や骨移植を行ったり、再手術が必要になった場合や、麻酔の費用を別に請求された場合などに、さらに費用がかかってしまいます。当然のことながら、事前の説明なしに、見積もりよりも費用が大幅にアップしてしまったケースは、トラブルに発展することが多いといえます。

当院でのトラブルへの対策

当院ではインプラントの手術を行う前に、診査や診断、CT検査により、患者様の歯や骨の状態をしっかりチェックして治療方針を検討いたします。さらに、初回のカウンセリングでは、できる限り明確に分かりやすく治療期間や費用についてご説明し、患者様にしっかりご理解していただいた上で、患者様ご自身で治療について決めていただきます。

インプラント相談で確認すべきポイントについては、「無料相談で確認すべきこと」をご覧ください。