重度になると歯が抜け落ちる場合も

歯周病とは、歯茎の病気です。抜歯が必要になる原因の一つでもあるため、歯の病気だと勘違いしている人も少なくないかもしれません。
歯周病は細菌によって歯茎に炎症が起き、腫れ・出血などの症状を引き起こします。進行すると、歯茎の奥まで炎症が拡がり、歯を支える顎の骨(歯槽骨)を溶かしてしまいます。重度になると、歯肉から膿が出たり、歯がグラグラになって抜け落ちてしまう場合もあるため早めの対策が大切です。

歯周病は静かに進行する恐ろしい病気

歯周病は「silent disease」とも呼ばれる、静かに進行していく病気です。顎の骨が溶かされて、歯が抜け落ちてしまう恐ろしい病気でありながら、痛みなどの症状もなく静かに進行していくのです。

歯周病の恐ろしいところは、気付かないうちに進行してしまうという点でしょう。痛みなどの目立った自覚症状がないうちに、静かに歯周組織が破壊されていくのです。
そのため、歯周病の症状に気付く頃には、病気が進行してしまっていたというケースは少なくありません。進行させないうちに発見し、適切な治療を開始することが大切になるのです。

歯周病の知識を身に付けて初期の段階で歯周病に気付くこと、定期的に検診を受けて、歯周病を早期に発見することが大切でしょう。

歯周病と歯肉炎の違い

歯肉炎は、その名の通り歯肉に起こる炎症です。口の中が不衛生な状態になっていたりすると、起こりやすくなります。歯周病の初期段階であり、歯肉炎が進行すると歯周病になってしまいます。
歯肉炎の段階ならば完治も可能ですが、歯周病になり歯肉だけでなく顎の骨にも影響が及ぶと、元の健康な状態に戻すことが困難になってしまうため、歯肉炎の段階で適切な治療を行うことが大切でしょう。

子供にも歯肉炎が増えている

「歯周病は大人がなるもの」と思っている人も少なくないでしょう。実際に年齢が高くなるにつれ、歯周病の割合が高くなります。
しかし、近年は子供にも歯肉炎の症状が多くみられているのが事実です。年齢に関係なく、歯肉炎・歯周病の対策が必要なのです。

歯槽膿漏との違い

歯周病は、以前「歯槽膿漏」と呼ばれていました。つまり、歯周病と歯槽膿漏は同じ病気です。
しかし、名前からもわかる通り、歯槽膿漏は「膿」が出ている段階です。歯周病の中でも、重度歯周病(歯周炎)の段階と認識して良いでしょう。

歯周病は段階によって症状が大きく違います。先に紹介した歯肉炎では完治も可能ですが、歯槽膿漏(歯周炎)の段階では、歯周組織が破壊されてしまっています。歯を支える顎の骨も溶かされ、歯の動揺が大きくなっている可能性が高いです。
「歯周病=歯槽膿漏」ではありますが、歯槽膿漏は歯周疾患の一部の症状しか現していないのに対し、歯周病は歯周組織の疾患全てを指します。

歯周病は生活習慣病?

歯周病は生活習慣病の一つと認識されています。それは、口の中の細菌だけでなく、生活習慣も発症に関係しているためです。
ただ単に歯磨きをするだけでなく、歯周病のリスクを高める生活習慣を取り除くことも、効果的な歯周病予防に必要となってくるのです。

また、生活習慣病の一つである糖尿病の合併症でもあります。糖尿病の人は、歯周病が発症・進行しやすく、治癒しにくいため、特に歯周病対策が大切です。
歯周病は、生活習慣病をはじめとする全身疾患との関係も明らかになってきているため、口の中の健康維持はもちろん、全身の健康のために、歯周病対策が不可欠と言えます。

国民の80%が歯周病!?

歯周病は国民病とも言われていて、「国民の8割が歯周病」などとも言われています。
しかし、実際のところは、歯石の付着がみられる“歯周病予備軍”も含まれているため、日本人の8割の人の歯周ポケットが深くなっているわけではありません。

しかし、それだけ多くの人の歯肉が「健全」と判断されていないのですから、誰もが注意しなければいけない病気であると考えて良いでしょう。

当院の歯周病治療

歯周病治療の基本は、プラークコントロールです。どの患者様も歯磨きを毎日しているのですが、やはりセルフケアだけでは十分と言えません。磨き残しができてしまっています。
そのため、定期的に受診していただき、ご自身で取り除けなかった汚れを、歯科衛生士が専用の器具を使用して徹底的に磨き上げます。

また、進行した歯周病の場合は、歯肉の下に歯石や汚れが付着してしまいますから、歯肉を切開するなど歯周外科手術が必要になってきてしまいます。当院では、歯周外科手術による患者様の負担を軽減し、治癒を早めるため、メスではなくレーザーを使用しています。

骨再生治療「TE-BONE」を導入

当院では、進行した歯周病によって骨量が大きく減ってしまった患者様に、骨再生治療も行っています。歯周病が進行すると、骨吸収が進み、骨とともに歯を失ってしまうケースも少なくありません。歯を失った後の治療法として、インプラントを選択する方も少なくありませんが、骨量が不足していてはインプラントの適応とはならないのが実状です。

当院では骨再生治療を行うことにより、失った歯槽骨を取り戻し、その後の治療方法の選択肢を広げます。