インプラントに健康保険は適用される?
これまでは自由診療が基本だったインプラント治療ですが、厚生労働省の取り決めにより、2012年の4月より一部の症例には健康保険が適用されることとなりました。
中には「保険が適用されるのであれば、インプラントにしたい」という方も多いのではないでしょうか。
ただし、インプラント治療では、「どんな場合でも保険適用になる」「全ての歯科や医療機関で保険治療を受けられる」というわけではなく、適用条件が限定されています。
今回はインプラントと健康保険の適用条件、保険治療を受けられる施設について解説していきます。
インプラントの健康保険の適用条件
インプラントで健康保険が適用されるのは、インプラントでなければ回復が困難であると判断される症例です。具体的には、以下の条件を満たしている場合にインプラント治療が保険適用されます。
- 顎骨の1/3以上が連続して欠損や形成不全の状態にあり、それが医科の保険医療機関の主治医によって、先天性の疾患によるものと診断される場合
- 病気や外傷などで広範囲にわたり顎骨を欠損している場合、またそれを骨移植術などの方法で再建している場合
なお、欠損の範囲や欠損の状態については、下記の通りとなります。
- 上顎の骨で1/3以上を欠損している、また欠損が上顎洞や鼻腔へつながっている状態
- 下顎の骨で1/3以上を欠損している状態、また腫瘍などの病気で下顎を切除している状態
保険が適用されるのは、腫瘍や顎骨骨髄炎などの病気や外傷による症例が対象となります。
「入れ歯は使い心地が良くないからインプラントに変えたい」「虫歯で失くした多くの歯を、インプラントを埋めることで取り戻したい」…よくある患者様のご希望ですが、残念ながら、歯周病や加齢などが原因の一般的な症例の場合には、健康保険適用の対象とならないのです。
インプラントの健康保険治療が可能な施設の条件
保険が適用になるインプラント治療は、厚生労働省で定められた条件を満たす医療機関でのみ受けることが可能です。
以下の条件を満たしている施設では、インプラントの健康保険治療が可能となります。
- 歯科あるいは歯科口腔外科を診療科目に設けている保険医療機関であること
- 歯科あるいは歯科口腔外科での治療経験5年以上、インプラント治療経験3年以上を有する歯科医が、常勤で2人以上配置されていること
- 病床(ベッド)数20以上を完備している病院であること
- 宿直医・日直医の当直体制が整っていること
- 国が定める医療機器や医薬品の保管・安全性確保の整備がされていること
一般的な開業歯科では、上記の条件を満たす医院はほとんどありませんので、健康保険治療を受ける方は、大学病院の歯科・口腔外科などを受診する必要があります。
※当院でも健康保険でのインプラント治療は行っておりません。保険は任意保険が対象となります。