歯茎が下がる原因と対処法!放置するリスクは?

左頬をおさえる女性

口腔内の病気のイメージといえば、歯に関するものが多く、歯茎の状態を普段から意識している方は少ないでしょう。しかし、歯茎は年齢や健康状態を如実に表す重要なバロメーターとなります。

歯茎が下がると、やはり気になるのは見た目でしょう。黄色っぽい歯根が見え、歯と歯の間に黒い隙間が生じると、歯が長くなって老けたように見えてしまいます。
さらに、歯茎が下がることで歯根面にはプラークが溜まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクも高まるほか、知覚過敏によって痛みを感じることもあります。

歯茎は一度下がってしまうと回復することは困難です。そのため、歯肉下がりの原因や予防法をしっかり理解しておくことが重要となります。
今回は歯茎が下がる理由とその対処法について解説していきます。

歯茎が下がる5つの原因

歯茎が下がる原因として、インプラントなどの補綴物の影響や、歯周病、歯並び、ブラッシング方法、噛み合わせによるものが考えられます。
これらがなぜ歯茎下がりの原因となるのか、詳しく見ていきましょう。

理由1インプラント

インプラントは、歯槽骨に人工歯根を埋入して、その上に被せ物を装着して歯の機能を補う治療法です。天然歯と違い、インプラントの歯は抵抗力が低いために炎症を起こしやすい傾向にあります。インプラント周りの粘膜から顎の骨にまで炎症が広がった状態をインプラント周囲炎といいます。

インプラント周囲炎は初期の段階では自覚しにくい病気ですので、天然の歯以上に歯科医院での精密なメンテナンスが必要とされます。
また、メンテナンスはもちろんのこと、毎日の丁寧なケアが行われていないと、歯茎が下がり、出血や腫れなどの症状が引き起こされます。

インプラント周囲炎については「インプラント周囲炎 - 進行の速いインプラントの歯周病に注意」のページをご覧ください。

理由2歯周病

歯周病は、虫歯と同じく細菌が起こす感染症です。歯周病菌は歯茎に炎症を起こし、歯が埋まっている歯槽骨を溶かしていきます。このとき、骨が失われると同時に歯茎も一緒に下がってしまうのです。
歯周病の原因は歯周病菌ですが、ストレスによる免疫力の低下や喫煙なども、歯周病のリスクファクターとして大きく影響しています。

なお、歯周病には歯肉炎歯周炎があります。このうち、歯茎が下がる可能性が高いのは歯周炎です。

歯肉炎

歯肉炎は、歯茎が炎症によって腫れてしまった状態のことを指します。腫れて歯茎が一時的に増えたようになるので、歯と歯茎の間の歯周ポケットは深くなります。
しかし、健康な人なら丁寧に歯磨きをしてプラークを除去すれば元に戻ります。

歯周炎

歯肉炎が進行すると、歯茎以外の歯槽骨などの組織が破壊される歯周炎が発生します。破壊されてしまった組織は、基本的に元には戻りません。
重度の場合は歯茎が下がるだけでなく、歯槽骨がなくなって歯がグラつき、抜歯を選択せざるを得ないケースも少なくありません。

歯周病については「歯周病とは – 歯肉炎・歯槽膿漏との違い/生活習慣病との関係」のページをご覧ください。

理由3歯並び

歯が正常な方向に生えていないと、歯茎が薄い部分が出現し、その部分の歯茎は下がりやすくなってしまいます。
歯並びは時間と共に少しずつ変化していくものです。「若い頃はまっすぐ生えていたのに、年をとったら変な方向にズレてきてしまった」といったケースもあります。

理由4歯磨きの仕方に問題がある

ブラッシングの際に歯ブラシを当てる圧が強いと、歯茎が下がってしまいます。歯ブラシにかける力はおよそ25~30g程度がよいと言われています。これは、指の爪を押したときに白くなる程度が目安となります。

また、歯ブラシの持ち方がグーで握っている方(パームグリップの方)は、鉛筆持ち(ペングリップ)を心掛けるようにしましょう。鉛筆を持つときのように、親指と人差し指で歯ブラシを把持するようにしてください。力加減を調節しやすいだけでなく、細やかな動きができるようになります。

理由5噛み合わせ

舌の横に歯の痕が付いている方は、緊張状態が強く、日常的に噛みしめをしている可能性が高いです。また、歯が異様にすり減っている方も、無意識のうちに歯ぎしりをしている恐れがあります。
強い噛みしめや歯ぎしりなど、歯や歯周組織に多大なストレスを与えるような悪い噛み合わせを外傷性咬合(がいしょうせいこうごう)といいます。外傷性咬合の方は、歯茎に大きな負担を掛けているために、歯茎が下がりやすい傾向にあります。

下がった歯茎を元に戻すには?

下がってしまった歯茎を取り戻すことはとても難しいことです。外科治療である程度回復することも可能ですが、その費用や成功率はまちまちとなります。

遊離歯肉移植術・結合組織移植術

下がってしまった歯茎の部分に、口蓋など他の場所から歯肉を持ってきて糸で縫い合わせ、移植する方法です。
歯茎を取り戻すことは可能ですが、同じ口腔内の歯茎でも色が異なってしまうため、違和感を覚える方もいます。

歯周組織再生療法

再生が難しいといわれている、破壊されてしまった歯周組織を復活させる方法です。
メンブレンという保護膜を用いるGTR法、豚のエナメルマトリックスタンパク質(エムドゲインゲル)を注入するエムドゲイン法などが存在します。

歯茎下がりを予防するセルフケア

ピカピカの歯のイラスト

歯茎が下がるのを予防するには、その原因に合った対策を講じることが大切です。歯並びや噛み合わせなど、歯科治療を要する場合は歯科医院で相談しましょう。

セルフケアで歯茎下がりを予防する一番の方法は、正しいブラッシング方法を継続することです。歯肉を傷つけてしまうことのないよう、適切な力と把持方法で行います。自分のブラッシング方法に自信のない方は、一度歯科医院を受診し、専門的なアドバイスをもらうのもよいでしょう。
また、磨き残しやすい歯と歯の間は、デンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシを用いて綺麗に清掃しましょう。

なお、夜は1日分の汚れが溜まっている上に、睡眠中には唾液量が減ります。唾液の細菌を洗い流す力が低下し、虫歯や歯周病のリスクが高まる時間帯ですので、毎食後に磨く時間を作れないという方は、寝る前の歯磨きを特に丁寧に行いましょう。

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