インプラント周囲粘膜炎の早期発見・早期治療の重要性

インプラント周囲粘膜炎は、インプラント周囲炎に比べて症状が軽いことから、見落とされるケースは少なくありません。しかし、気づかないまま放っておくと、大きなトラブルにつながることから、症状や治療について正しい知識を身につけることが大切です。

手術後に注意すべきインプラントのトラブル

インプラントのトラブルに注意

インプラントの術後の代表的なトラブルといえば、インプラント周囲炎がよく知られていますが、実は、インプラント周囲粘膜炎の方が、はるかに罹患率が高いため注意が必要なのです。

インプラント治療を受けた人を対象とした調査結果によると、インプラント周囲粘膜炎が確認された人の割合は、インプラント周囲炎を発症している人を大きく上回っています。このことからも分かるように、インプラント治療を受けた人にとって、インプラント周囲粘膜炎はとても身近な病気だといえます。

インプラント周囲粘膜炎の段階ならば、治療によって完治が可能です。しかし、インプラント周囲炎が悪化してしまうと、もう元の状態に戻すことはできないことから、インプラント周囲粘膜炎を防ぐことは、まさにインプラントの寿命を延ばすことにつながるのです。

インプラント周囲粘膜炎とは?インプラント周囲炎との違い

インプラント周囲粘膜炎

インプラント周囲粘膜炎とは、文字通りインプラントの周囲の粘膜で炎症が起こることをいいます。天然歯に起こる歯肉炎に似たような状態で、炎症の範囲が粘膜に限られているのが特徴です。

それに対して、インプラント周囲粘膜炎が進行し、炎症が骨にまで広がった状態がインプラント周囲炎です。炎症によって周囲の骨の破壊が進んでしまうと、支えを失ったインプラントがぐらつきはじめ、最悪の場合はインプラントの脱落につながります。

インプラント周囲粘膜炎の原因

インプラント周囲粘膜炎は、骨に埋め入れたインプラント体が細菌に感染することで起こります。細菌感染の原因としては、不衛生な環境下でのインプラント手術のほかに、術後の不十分な清掃が挙げられます。

毎日の歯磨きがきちんと行われていないと、インプラントの周囲にプラークが溜まって、その中で歯周病の原因菌が増殖します。その数はなんと、プラーク1mgあたり1億個ともいわれています。それらが出す毒素によって歯肉が炎症を起こして、インプラント周囲粘膜炎の症状が現れるのです。

インプラント周囲粘膜炎の症状

天然歯で起こる歯肉炎と同じように、症状に気づきにくいのがインプラント周囲粘膜炎の特徴です。何らかの自覚症状が現れた時にはかなり症状が進行し、インプラント周囲炎を発症している可能性があるため、十分な注意が必要となります。

インプラント周囲粘膜炎でみられる症状には、次のようなものがあります。

  • インプラント周囲粘膜の赤み
  • インプラント周囲粘膜の腫れ
  • インプラント周囲粘膜からの出血
  • 歯周ポケットが深くなる

インプラント周囲粘膜炎を早期発見するためには、歯肉の変化に気づくことができるかどうかがポイントになります。しかし、患者様ご自身が歯肉の異常を見つけることは大変難しいため、歯科医院でのメンテナンスが重要となるのです。

インプラント周囲粘膜炎はメンテナンスで予防できます

インプラン周囲粘膜炎の最も効果的な予防法といえるのが、術後のメンテナンスです。定期的なメンテナンスによって、お口の状態を常にチェックするだけでなく、インプラントの周囲を清潔に保つことにより、インプラントを細菌感染から守ることができます。

インプラントのメンテナンスでは、次のようなことを行います。

1お口の中のチェック

インプラントを埋め入れた部分を中心に、歯肉の腫れや出血の有無、インプラントのぐらつきを調べるほか、口腔内の清掃状態をチェックします。

2噛み合わせの確認

噛み合わせが悪くなると、インプラントに無理な力が加わって脱落を引き起こすことから、メンテナンスのたびに噛みあわせの状態をチェックします。

3レントゲン検査

レントゲン撮影で得られた画像をもとに、埋め入れたインプラントの周囲で骨吸収が起こっていないかなど、詳しく確認します。

4機械的清掃(PMTC)

毎日の歯磨きでは落とすことができない、歯の表面や歯肉縁下に付着した歯垢(プラーク)を専用の機械を使って落とします。

5歯磨き指導(TBI)

インプラントの周囲やきれいに磨けていない部分を中心に、歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロス等を使って歯磨き指導を行います。

インプラント周囲粘膜炎が見つかった時の治療法

メンテナンスによって歯肉に異常が見つかった場合、インプラント周囲炎への進行を食い止めるために、早めの対処が必要になります。炎症が歯周ポケットの深部にまで及んでしまうと、せっかく埋め入れたインプラントを外さざるを得ない事態に陥るため、早期発見・早期治療が必要なのです。

インプラント周囲粘膜炎が確認された場合、主に次のような処置を行います。

  • 機械的な清掃(PMTC)
  • 抗生剤の服用
  • 消毒薬による歯周ポケットの洗浄
  • 歯磨き指導(TBI)

インプラント周囲粘膜炎が確認された場合、基本的に歯周ポケット内の汚れを取り除き、洗浄する必要があります。さらに、インプラント周囲粘膜炎の発症を繰り返さないためには、汚れを残さないための歯磨き指導が大変重要になります。

また、次のような要因はインプラント周囲炎のリスクを高めることから、可能な限り排除することがのぞましいといえます。ご自身で判断が難しい場合は、専門医に相談するなどして対処しましょう。

インプラント周囲炎の主なリスク要因
  • 糖尿病
  • 貧血
  • 喫煙
  • 歯周病
  • 歯ぎしり・食いしばり

インプラント治療は信頼できる歯科選びが重要です

インプラントは、骨としっかり結合した状態を保つことで、長く使い続けることができます。そのためには、インプラント周囲粘膜炎にならないよう、細やかなメンテナンスを行うことができる歯科医院を選ぶことが大切です。

しかし、メンテナンスは長期間に渡ることから、治療の確かさや歯科医師の経験、技術だけでなく、通院のしやすさや医院内の雰囲気、スタッフの対応など、さまざまな条件が患者様にマッチしていることが重要となります。

そのため、当院では治療の安全性や分かりやすさ、交通アクセスなどにおいて、常に患者様にとって「通いやすい医院」であることを目指しています。