歯茎から膿が出たら早めの対処が必要

口を横に引っ張って歯茎を見せる女性

「歯茎から膿が出る」と聞くと、歯槽膿漏(重度歯周病)をイメージする人も少なくないでしょう。しかし、歯茎から膿が出る原因はそれだけではありません。自分の場合は何が原因で膿が出てくるのか、正しく把握し早めに対処する必要があります。

膿が出るけど痛みはない」という人が多いのですが、痛くないからといって放置してしまう人も珍しくありません。膿が出るということは、歯茎の下で何らかのトラブルが生じているのですから、早めに対処することが必要です。

歯茎から膿がでる3つの原因と治療・放置による影響

原因1重度歯周病(歯槽膿漏)

歯周病は、かつて歯茎から膿が出る病気として「歯槽膿漏」と呼ばれていました。歯周病は、歯槽膿漏の症状を含む、歯茎の腫れなどの初期段階から膿が出るような重度の症状までの総称です。
段階によって大きく症状が異なりますが、症状がひどくなるほど、歯肉や歯槽骨などの歯周組織の破壊が進んでしまいます。

歯茎から膿が出るということは、歯周病は重度にまで進行している可能性があるでしょう。重度の歯周病になると、歯を支える歯槽骨の吸収が進み、歯がグラグラになってきます。さらにひどくなると、歯が自然に抜け落ちてしまう場合もあります。

歯周病は、虫歯と並んで歯を失う2大原因の一つです。歯茎から膿が出ている段階なのであれば、早急に適切な治療を開始する必要があるでしょう。早めに歯科を受診することをおすすめします。

歯周病の治療法

歯周病治療の基本は、プラークコントロールです。歯科医院で行うクリーニングと患者さんご自身で行うセルフケアの両方を継続して行っていきます。
しかし、進行した歯周病になると、歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)が深くなってしまいますから、プラークコントロールが行いにくくなってしまいます。歯肉の下の汚れは、専用の器具を歯周ポケットに差し込んで除去しますが(ルートプレーニング)、これを行っても症状が改善されない場合には、歯肉を切開して歯根を露出させ、歯根に付着した汚れを除去します。

歯周病は初期の段階ならば、歯石除去などのクリーニングだけでも症状が改善していきますが、進行していくと外科的な処置も必要になります

歯周病の治療法の詳細については
「歯周病治療の流れと費用・期間 – 薬で治る!?手術が必要も!?」のページをご覧ください。

歯周病を放置すると…

歯茎から膿が出ている原因が歯周病であった場合、そのまま放置していると、炎症によって歯槽骨が溶かされ続け、歯槽骨が減ることによって歯を支えられなくなり、歯の脱落を招いてしまいます。
歯茎から膿が出ているということは、歯の動揺が始まっている可能性も高いでしょう。

また、膿が出たりグラつきが生じたりしている歯だけでなく、他の歯にも影響する可能性が高いです。虫歯とは異なり、歯周病は複数の歯を一度に失う場合もあるので注意が必要です。

原因2根尖病巣(こんせんびょうそう)・フィステル

根尖病巣とは、歯の根の先に膿が溜まっている状態を言います。歯根の先にできた膿が、歯茎の表面に出てきて「おでき」のようになることがありますが、このおできのことを「フィステル」と言います。
これは、進行した虫歯により神経が死んで腐敗してしまった場合根管治療を行った歯が何らかの原因で細菌に感染してしまった場合(感染根管)などに起こります。

根尖病巣は、レントゲンを撮ると、根の先に黒い影が映ります。その影が膿の袋です。大きな炎症が起きていても、その歯の神経が死んでいたり、抜髄を行っている歯であるため、痛みが出ない場合も多いです。
歯根と歯槽骨の間にある「歯根膜」というところに、炎症が広がった場合には、噛んだ時などに痛みが生じる場合があります。

根尖病巣の治療法

根尖病巣は、炎症が起きている根管をきれいにする必要があります。そのため、根管治療が必要になります。根管治療を一度行った歯で起きた場合も、再び根管治療(再根管治療)を行う必要があります。

また、根管治療で症状が改善されない場合には、歯根端切除術などの外科的な処置が必要になります。歯根端切除術とは、根管をきれいにしても根の先の炎症が改善されない場合に、歯肉側からアプローチする方法であり、歯肉を切開して歯根の先と病巣を切除します。

根尖病巣を放置すると…

歯根の先の炎症が大きくなると、歯を支える歯槽骨など周囲の組織を破壊してしまいます。また、上顎の奥歯で起こっている場合には、副鼻腔炎の原因にもなります。
副鼻腔とは、鼻の穴につながる骨で囲まれた空洞ですが、ここに炎症が起こると、鼻詰まりや頭痛、咳などの症状が起こります。悩まされていた頭痛や鼻詰まりの原因が歯だったということもあるのです。

原因3親知らず

親知らずは何かとトラブルが多い歯ですが、親知らずの周辺から膿が出る場合もあります。親知らずで膿が出る原因には、主に次のようなものが挙げられます。

その1汚れが溜まりやすい

親知らずは、まっすぐに生えてくるとは限りません。斜めに生えた場合など、親知らずに歯肉が被った状態になったりします。歯の上に歯肉が被った状態なので、衛生管理が行いにくく、汚れが蓄積して歯肉に炎症を起こし、膿が出る場合があります。

その2虫歯

親知らずは最も奥に生えているため、歯ブラシが届きにくく不衛生になりやすいです。そのため、虫歯のリスクが高い歯でもあります。
親知らずの虫歯が進行すると、神経が死んで根の先に膿をつくるようになります。

親知らずの膿の治療法

親知らずが原因で膿が出る場合には、抜歯した方が良いケースがほとんどでしょう。
手前の歯の状態などによって、親知らずを残した方が良い場合もありますが、それを含めて、早めに歯科で相談することをおすすめします。

親知らずを放置すると…

親知らずの虫歯が進行している場合や歯周炎を起こしている場合には、その箇所の骨にも悪影響を及ぼす可能性があります。

また、親知らずはさまざまなトラブルが起こりやすいほか、周囲の歯に悪影響を及ぼす場合があります。親知らずの手前の歯が虫歯になりやすかったり、親知らずが他の歯を押すことで、歯並びに影響したりすることもあります。
生え方によっては難抜歯となるため、一般歯科では親知らずの抜歯ができない場合もあります。全身麻酔で抜かなければいけない場合もあるのです。
強い痛みなどがあっても、すぐ抜けないという場合もありますから、なるべく早めに相談すると良いでしょう。

歯茎の膿は自然に治る?

原因によって異なりますが、歯茎からの膿は自然治癒しない可能性が高いでしょう。フィステルができても、自然に消える場合がありますが、その根本の原因が改善しているとは限りません。
抜歯が必要になる場合もあるため、早めに治療することが大切でしょう。

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